「新型うつ病」とうつ病の違い – 誤解されやすい症状
うつ病には、「新型」「現代型」「未熟型」などと名前が付けて呼ばれていますが、これらの病気の名前に、明確な診断基準はありません。
主にマスコミや、メンタルヘルスの専門家が使い始めた言葉です。
典型的なうつ病とは少し違った特徴が見られ、若い人で発症することが多いため、仮説や考察によるタイプ分けという意味合いで用いられているようです。
誤解されやすい新型うつ病
典型的なうつ病とは、
- 朝早く目が覚める。
- 朝が不調で夕方になると改善する。
- 気分が落ちたままの状態が長く続く。
- 食欲がない。
などの症状が目立ちます。
「典型的ではないうつ病」のひとつとして、非定型うつ病と呼ばれるものがあります。
新型うつ病=非定型うつ病とは言えませんし、はっきりとした鑑別は行なわれていないようです。
非定型うつ病とは
典型的なうつ病と異なる症状の特徴として、睡眠過多、食欲が増す、気分のアップダウンがあります。
非定型うつ病には、国際基準が存在します。
① 楽しい出来事があると気分がよくなる(気分反応性)
② 次のうち、2つ以上当てはまる
- 過食
- 過眠
- 手足が異常に重く感じる
- 人の批判や冷たい態度に敏感
治療法
非定型うつ病には、典型的なうつ病よりも、抗うつ薬にあまり効果が見られません。
海外では「モノアミン酸酵素阻害剤」という薬に効果があるとして使用されていますが、日本ではうつ病の薬としては未承認となっています。
休養は一時的に効果があります。
その他にも、規則正しい生活リズムを維持する事や、対人関係の取り方を改善する、社会とのつながりを断たないようにする、日中は目的のある活動をする事や、少しだけ励ます事、少しだけ頑張ってみるような周囲からの働きかけが必要です。
ただし、感情が高まりすぎて口論になりそうな時は、一旦ストップして冷静になってから言い方を工夫してみる事が必要です。
きっちり安定させるには時間がかかりますが、ある程度症状をコントロールでき、日常生活に支障のない状態を目指すことは可能です。
うつ病は増えてきたとよく報道されていますが、実際のところははっきりしていないようです。「○○型うつ病」というマスコミ用語によって、医学的な知見の明確な裏付けがないまま広がってしまい、診断基準の解釈や分類で、かなり軽症の人を巻き込んでしまったとも言われています。