買い物依存性 – 「買いたい欲求」を抑える確実な方法
依存症は、生活に支障を及ぼす、立派な精神疾患のひとつです。
依存症には様々な種類の症状がありますが、中でも少し変わった症状と思われるのが『買い物依存症』ではないでしょうか。
しかし、よく考えてみれば、ストレスを解消するために消費行動に走るという経験は、誰にでもある事ではないでしょうか。
誰だって、心が満たされない時、日頃の憂さを晴らしたい時に、高額な趣味の道具や、衣類、アクセサリーを購入することはあると思います。
その楽しみ、快感を理性で制御できないという状態が、買い物依存症です。特殊な病気ではなく、誰にでも起こり得る病気です。
買い物依存の「欲求」を抑えるには
依存症は、「快楽」と隣り合わせの病気です。
これは、買い物依存症に限った事ではありません。ギャンブル依存症など、その他の依存症でも同じ原理でを引き起こされるものです。
物を買ったり、ギャンブルで勝ったりする行為は、脳の中にある「ドーパミン神経」を刺激します。ドーパミン神経が刺激されると、脳の中で「ドーパミン」と呼ばれる快感物質が放出されます。
買い物依存の原因に、ドーパミン?
宝くじが当たった時、高価な買い物をする瞬間、気持ちがドキドキして心地よい喜びを感じるのは、この「ドーパミン」による作用です。
ドーパミンが与えてくれる心地よい感情が強すぎると、「またあの心地良い感じを味わいたい、、」という、快楽への欲求が始まります。はじめのうちは、「快楽の追求」ですが、この気持ちは徐々に変化していきます。
ギャンブルでも、勝ち続けることはありません。買い物も、当然お金が尽きてしまえば買い続ける事はできなくなってしまいます。
お金があるうちは、買い物をすることで憂さを晴らす事ができます。しかし、お金が無くなれば買い物ができない事自体が強いストレスに感じるようになります。
その結果、今度は「買えないストレス」を晴らす為に、借金などを繰り返すようになってしまうのです。
これが、買い物依存症の本当の恐ろしさとも言えるでしょう。
神経を健康に保つ
依存症は、かかりやすい人も居ればそうでない人もいるようです。
単純に「性格」や「気質」と考える人もいるようですが、依存症は病気のひとつです。買い物依存症を「お金の使い方がだらしないせいだ。」と責めてしまうのは間違っています。
先ほど説明した通り、依存の原因の大きな理由のひとつに、ドーパミンの分泌が考えられます。
ドーパミンが過剰に分泌される人の場合、極端に感情が高ぶったり、「快楽」を感じる度合いが高いという事です。
実は、このドーパミンの作り出す、過剰な快楽の感情を抑える為に必要とされているのが、神経伝達物質である「セロトニン」です。
セロトニンは、ドーパミン神経に作用することで、感情の高ぶりを適度に抑制してくれます。ドーパミンの作り出す快楽の感情だけでなく、不安やイライラなど、穏やかな感情を作り出す為に、セロトニンは様々な神経に効果的に働きかけてくれます。
この事から、セロトニンは「幸せホルモン」などと呼ばれることもあります。
つまり、セロトニン神経を健全に保ち、神経伝達物質であるセロトニンを増やす事が、買い物依存症の予防・治療に役立ち、日頃のストレス解消にも繋がるという事なのです。
セロトニンを分泌させるには
それでは、セロトニンを分泌させ、買い物依存症を克服させる為には、具体的にどのような行動をとれば良いのでしょうか。実は、その方法は意外とシンプルです。
セロトニン神経を健全に保つためには、以下のような方法が有効だと考えられています。
- 早寝早起きの規則正しい習慣を心掛ける。
- 朝は早めに起床し、太陽の光をしっかり浴びる。
- 毎日、30分程度は運動をする。
- バランスの良い食生活を心掛ける。
- ストレスを溜めない生活を心掛ける。
「これがセロトニン神経とどう関係あるの?」と思われる方もいるかもしれません。
しかし、これらの方法は全て、セロトニン神経に直接刺激を与え、セロトニンの分泌を促す事が科学的に裏付けされた方法なのです。
特に、食生活のバランスを保つという事は、セロトニンの前駆体となる必須アミノ酸「トリプトファン」を摂取する事に繋がります。1日3食、バランスの良い食生活を心掛けましょう。
また、最近ではセロトニンを効率良く増やす為の「サプリメント」も販売されています。食生活に自信の無い方は、サプリメントをうまく活用する事もおすすめです。