朝日でセロトニンが増える – 高照度光療法がうつ病の改善に
朝日を浴びて、セロトニンを増やす
朝早くから起きて、朝日をしっかり浴びる事は、脳のセロトニン神経を活性化させることができます。こうした事は、うつ病や心の病について調べている方なら、何度も耳にしたことがあるのではないでしょうか。
朝日を浴びる事は、うつ病や様々な心の病、不眠症を改善する為に、非常に効果的な事なのです。
また、こうした脳の仕組みを利用して、人工的に太陽に近い強さの光を作り出し、うつ病や不眠の治療に役立てようとしているのが、高照度光療法と呼ばれる方法です。
朝からすっきり目覚め、活発に動く為の神経
セロトニンは、様々な感情を適度に抑制してくれる、脳の中の神経伝達物質です。
うつ病の場合、ノルアドレナリン神経という、不安を感じる神経に何らかの原因があり、過度に不安・感情の落ち込みなどを感じやすくなると言われています。
セロトニンは、こうしたノルアドレナリン神経が作り出す、過度な不安やイライラなどの感情を適度に抑制してくれると考えられています。
しかし、朝日を浴びる事で、なぜセロトニンを増やす事ができ、更に、朝から活発に過ごす事ができるようになるのでしょうか。
セロトニン神経のメカニズム
セロトニンは、脳の中のセロトニン神経と呼ばれる神経から分泌される物質です。
目から入った朝日の光は、目の奥にある、光を感じ取る神経「網膜」に刺激を与え、セロトニン神経へと刺激を伝搬します。
これによってセロトニン神経が刺激され、セロトニンの分泌が促されるのです。
自立神経を刺激する
また、朝日は脳の自律神経にも刺激を与えます。自律神経は、朝日からの刺激を受け取る事によって、交感神経が優位に働きます。
交感神経が働く事によって、脳や身体の各器官が覚醒し、朝からすっきりとした目覚めや、快活な感情を手に入れる事ができるのです。
交感神経が働かなければ、自律神経は「副交感神経」と呼ばれる、睡眠を促す、夜の神経が働いたままになっています。
いつまで経っても目が覚めず、身体を動かしても怠く、何もする気が起きないという方は、朝になっても副交感神経が働いている可能性があります。
人工的に朝日を作り出す、高照度光療法
最近では電灯の光も強くなっていますが、太陽の光の強さに比べると、到底及びません。
光の強さは「ルクス」という単位で表されますが、通常の電灯などの光は、100〜250ルクス前後で、朝日は2,000ルクス〜20,000ルクス 程度もあると言われています。
単純に10倍〜100倍近くの強さがあるという事です。
ただし、うつ病や睡眠障害の治療の為に、特別に太陽の光に近い強さの電灯を作り、照射する治療法があります。こうした治療法は「高照度光療法」と呼ばれ、最近では一般家庭向けにスタンド型の、治療用の照明が販売されています。
治療法は、朝の一定の時間、電灯の光を浴びる事で網膜から脳へと刺激を与えます。
症状にもよりますが、睡眠障害やうつ病の方に、短期間で効果を得られる事ができるケースも多くあるそうです。
うつ病や不眠症の症状に悩んでいる方で、朝起きても、カーテンを開けづらい。
または、部屋の都合で、陽の光が遮られているという方は、高照度光療法を試してみるのも良いでしょう。